021-030



涙なんてとうに枯れたと思っていた


もう哀しむコトなどないと
もう傷付かなくていいと
そう思っていた

なのに何故貴方は私の前へ現れた?



何処までも
果てしない路へ

荷物は何もくていいから
両手いっぱいの夢だけ抱えて


此処から
一緒に走り出そう



貴方の手をひくから
一緒に歩こうよ

何時でも側にいると約束するよ


だから
早く早くあの丘の向こうへ



涙の粒が踊る
一つだったのに

水溜りになっている


柔らかいのに
どうしてこんなにも
痛く心に刺さるのだろう



泣いていたんだ、私は

優しい言葉が痛くて
聞きたくなくて

もっと
幼ければ判らなかったのに





今でも愛しい人
記憶の中では笑顔
私の名前を呼ばないで
別れを告げた私を

私に優しかった人
隣で肩を震わせ泣く
私の名前を呼ばないで
貴方を裏切った私を

忘れられない人
総てが染み込んでいる
私の名前を呼ばないで
偽りに生きた私を

総て知っていた人
私の嘘を知っていた
私の名前を呼ばないで
自分が嫌いな私を



生きたい
貴方が好きな世界
貴方が傍にいた
最期の恋でした

生きたい
私が嫌いな世界
貴方が傍にいた
最期の光でした

生きたい
一緒にいた世界
貴方が傍にいた
最期の夢でした

死にたい
貴方が死んだ世界
貴方が傍にいない
最期の願いです



甘い幻
幸せな私がいた
貴方が傍にいる

夢心地
幸せが判らない
でも貴方がいる

真実
哀しい涙を零す
何処にも貴方はいない



闇夜を照らす月
頬に流れた雫
遠くまで空はあるのに
君は何処にもいない

消えない痕
忘れられない声
記憶は鮮明なのに
君は何処にもいない



哀しみの向こう
遠い場所 貴方がいた

私は此処にいる
躊躇っている 貴方を探すコトに


一粒の勇気さえ
私は持ってなどいなかった